2011 年 6 月 22 日
マルのこと
なんだかふと。
私が生まれて初めて仲良くなった犬のことを、書いてみたいなと思いました。
あれは、小学校の2年生の頃でしたか。
友達と数人で遊んでいるときに、どこからともなく現れたんだったと思います。首輪は・・・してなかったように覚えています。
白い長毛の雑種でした。小型犬と中型犬の間くらいの大きさだったかなぁ。
人なつこく、初対面の小学生グループにも臆せずしっぽを振って寄ってくるような犬でした。
こんなに人なつこいんだから、きっと迷い犬だよね。飼い主さんと、はぐれちゃったんだよね。という話になり。
で、小学生特有の正義感というのでしょうか。「この犬の飼い主さんを見つけてあげなくては!」と盛り上がり。意気揚々と行動を開始した私たちでありました。
犬は、仲良くなった私達の後を、当然のようについてきます。もちろん、リードなんかあるわけもなく。まるで友達のひとりみたいに、嬉しそうに楽しそうに、一緒に歩きます。
小学2年生の女子グループ。白犬を交えて近所のお宅を次々と回り
「この犬、どこの犬か知りませんかぁ?」
と、尋ねて歩きました。
とある一軒のお宅で聞いてみたところ、そこのおうちの奥さんが
「あれぇ。この犬は、××さんちのマルじゃないけ?」
もうその言葉だけで。私たち、飼い主を見つけたと思い込んだんですね。さすが小学生(笑)
早速、犬にむかって「マル」「マル」と呼びかけ。喜びいさんで××さんのお宅へ向かいましたよ。
でもね。
そこんちの犬は、ちゃんと庭先につながれていました。そして、確かにやや長毛の白い雑種なんだけども、大きさから顔かたちから、まったく違う犬でした。。。
念のため、××さんちのチャイムを鳴らし、「この犬、おばちゃんちの犬じゃないですか?」とは聞いてみたのですが。
案の定、「うちの犬なん、ほれ、そこにいるら。この犬は、わたしゃあ見たこんないねぇ」というお返事。
途方にくれる私たち(笑)
もうすっかり、ハッピーエンドのつもりだったのに。
飼い主さんに感謝されるとさえ思い込んでいったのに、あっさり「違うよ」なんて言われちゃったわけですからね。ぷぷ
もうそれ以上はどうしようもなく。
日も暮れて、小学生はおうちに帰らなくてはいけない時刻です。
「じゃあね、マル」「ばいばい、マル」などと言いながら、それぞれバラバラと帰っていきました。
最後に残ったのが、私と、お向かいのななちゃん。
なんの疑いもなく、「さあ、これからどうしますか?」と、にこにこ見上げてくるマル。
うちの両親は動物好きじゃないし、汚れるのを嫌うので、犬なんか連れて帰ったら怒られるに決まってる。ど・どうしよう・・・。
幸い、ななちゃんのお宅は動物好きでして。
すでに猫がいるので、もう犬は飼えないけれど。縁側の下で寝泊まりさせてもらえることになりました。
飼い主がみつかるまでは、ここにいてもいいよ。って。そのかわり、あんたたち、ちゃんと責任もって飼い主を捜しなさいよ。って。
たぶん、ご飯もあげてくれていたんじゃないかと思います。おばちゃん、ほんとにほんとにありがとう(涙)
翌朝、家の前にみんなが集まってくると、マルも当然のように集合します(^^)
で、みんなでおしゃべりしながら小学校へ。
授業が始まり、私たちが校舎に入っていくと、マルは校庭のすみっこで私たちを待ちました。(教えもしないのに、じっとそこで待ってたんですよ。不思議ですよね。)
放課後、マルももちろん一緒に、みんなで楽しく帰ります。
それぞれランドセルを家においてから集まり、またまた飼い主捜し。
これが何日くらい続いたのか・・・実はもうよく覚えていないのですけれど。
ある日、「じゃあ、今日はあっちの町内を回ってみよう!」と、女の子たち+マルが一斉に駆け出しました。
そのとき、私、自分の運動靴のひもがほどけていることに気づいたんですよ。
で、みんなに「ごめん、先に行っててー」と声をかけ、その場に止まりました。
そしたらね。
友達はそのままみんな駆けていったのに。マルが。
足を止めたんです。
で、私を振り返り、じっとそこで待っていました。
これね、犬が大好きな方なら、皆さんわかってくださると思うんですけども。
嬉しかったんですよ。とっても、とってもね。
「みんなの後についていく」ことよりも、「私を待つために立ち止まる」ことを選んだ犬。
すごいでしょ? すごいよね? ね? ね? ねっ!?
・・・。今にして思えば、マルはただ単に「群れから遅れた仲間の一頭」を、待っていただけなのかなって気もしますけどw
あの時の私はね、自分がマルにとって「とくべつな存在」になったことを、それこそ天にも昇るような心地で受け止めたんですよ。
それまで、犬に対する私の気持ちは、いつも一方通行でした。
知り合いのお宅の犬なんかにさわらせてもらうことはあったけれど、犬は別に、私になでられようが誰になでられようが全然かまわない。「なでたいんなら、なでさせてやってもいいよ」なスタンスでした。
そのくせ、飼い主さんと目が合ったときの、犬の嬉しそうな顔。ちぎれんばかりに振られるしっぽ。
私にとっての「犬」って、いっつも、「そういうモノ」でした。
それがね。
マルってば。待っててくれたんですよ。私をっ(←しつこい)
「自分の犬を持つ」って、こういうことかなぁ・・・と、幼い私は、そこで強くつよーく、感じたのでした。
結局、マルとの別れは、残念な形で、それからすぐに訪れました。
いつものように、校庭のすみっこで私たちを待っていたマル。
放課後、私たちが集まるのより少し早く、6年生の男子が。水道の水を口に含み、マルに向かって「ぷわーーーーっ」と、霧のように吹きかけたんだそうです。
マルは、驚いて逃げていきました。校庭を飛び出し、あっという間に見えなくなったそうです。
私たちのグループの子が見ていたんだったか、それとも、別のグループの子が目撃して教えてくれたんだったか。
6年生の子にしてみれば、本当に軽い気持ちだったのだと思います。
あの犬、いつもあそこにいて2年の女子たちを待ってるから、ちょっとからかってやれ! くらいの、ほんの気軽ないたずら心だったんでしょうね。
でも、マルは。
よっぽど水が嫌いだったのか、それとも、信頼していた「人間」に突然攻撃されたのがショックだったのか。考えたくはないけれど、もしかしたら事故にでもあったのか。
それから、二度と私たちの前には現れませんでした。
4つも年上の男子に文句を言うだけの勇気もなく、そして文句を言ってみたところで、マルはもうどこかに行ってしまっており。
結局は、そのまま黙ってあきらめるしかなかった2年生の私たちでしたが。
それでも、あの日、運動靴のひもを直すために立ち止まった私を、当たり前にみたいに待っててくれたマルの記憶は、今でも私の宝物です。
卒業して就職して結婚して。嫁いだ先が猫屋敷(^^)
多分もう、一生、犬と暮らすことはないだろうな、と漠然と考えていたのにね。
狭いながらも、犬が寝るくらいの余地はある庭を持ち。
子犬を「見せてもらいに行った」お宅で、ある一頭の子犬と運命の出会い(笑)を果たし。
仕事が忙しいから犬を飼うのは無理、と躊躇していたところ、偶然にも仕事を辞めるチャンスがあり。
とんとん拍子でしたわ、本当に。
マルと出会ってから、十年あまり(ほらそこ、細かいことツッコマない!!)
まさに、出会うべくして出会った「私の犬」。
それが、この子です。
主人との絆を重んじるといわれる日本犬、甲斐犬ですよ。一代一主ですよ。すばらしいでしょう。
自分の年齢を考えたら、もう多分、この子がいなくなった後に別の犬を飼うことは考えられない。
この子は、私の最初で最後の「自分の犬」なんです。
私の思い入れの深さ、おわかりいただけるでしょうか、皆さんっっ!!
ええ、そりゃもう、一生懸命そだてましたよ。がんばりましたとも、私。
なのにね。
「んー、おとさん早くこないかなぁ。でち・・・」
げ・げんちゃん、げんちゃん。せっかくおさんぽにきたんだからさ、おかさんと歩こうよ、ほら。げんちゃん・・・(涙)
くぅぅぅぅぅ(__;)
い・いいの。元ちゃん。おかさんはね、どんな元ちゃんだって、大好きだからね。よよよ(泣きくずれる)
「なんだかわかんないけどぉ。おかさん、今日はゴキゲンななめみたいでち。変なのぉ」
Filed by ねこた at 12:39 PM under あれこれ
16 Comments
ねこたさん…泣いたよ。
靴ヒモを結ぶねこたさんをじっと待ってたマル。
校庭の隅でじっと学校が終わるのを待ってるマル。
水かけられて逃げちゃったマル。
きっと当時のねこたさん&FRIENDSのことが大好きだったんだねぇ。
そういう犬と人間のなんてことない繋がりに・・・泣けたよ。
で、『そこにいるら。』『見たこんないねぇ』には笑った!
元ち、つれないなぁ…。
今日ウチは帰って来た時お出迎えナシだったよ。
アタマ来たから洗ってやった!!(笑)
うう・・・ エエ話しぢゃ・・(涙;;
>コテツおかんさん
今思うと、なんだかすごくいいやつだよね、マル。あの頃は、犬全般をよく知らないから、こんなもんだろうと思ってたけど。
迷子になって心細かったときに、一緒に歩いてくれただけの小学生集団を好きになったマル。
靴ひもを直すために止まったらマルが待っててくれたという、そのことだけで有頂天になる小学生。
人も犬も、お互いにほんのちょっとしたことで、相手をすごく喜ばせることができるんだね、きっと。
甲州弁、くいついてくれてありがとう(笑) おとんの実家でも使いますか。でも、あっちの方は甲府とはまた微妙に違ったりもするんだよね?
確か、ちょっと静岡弁にも影響された感じの方言だったような。
コテツ王国の警備隊、また洗われちゃったんだw
そりゃ、コテツくんもこはるちゃんも、災難だったねぇ。今日は暑いから、お出迎えするだけの元気がなかっただけなのにね。おかん、ひどいよね。うんうん。
>くまぱぱさん
エエ話・・・?
ひたすらおとさんを待つ、忠犬元公の話が?(笑)
ふぅ… やっと繋がったし(笑)
なんだったんだろーなー
お騒がせしました(汗)
ほうほう。
ええ話やないかーーーーーーー!!!(まる)←ぷ!
小さい頃は 確かに憧れた!『自分の犬』ってやつに。
いま 娘が憧れてる時代ですな。 よく 言われるよ〜
『私には なつかない!』って(笑)
十分すぎるほどだけどね さすがにオーナーは超えられないらすい(笑)
そんな彼女は 現在 迷ハンドラーで 巷を おののかせてます。 ぷ!
>肉球さん
つながりましたか~。ほんと、なんだったんだろ。
ご迷惑おかけしまひた~
ええ話っすか。まる。ぷぷ
今のハイタロウが、この頃の私と似たような年齢なんだよね。
あこがれるんだろうなぁ。お母たんが自由自在に犬を操る姿(違)
ハイタロウ、大人になったら、立派な犬飼いになるんだよ。きちんと面倒みて、いろんなこと教えてあげれば、きっとその犬にとって、「ハイタロウが一番」になるからね。
あ、例外はあるけど・・・ね、げんげん(--;)
迷ハンドラーっすか。怖いな(笑)
なにやっちゃうんだろ。ぷぷ
泣いた。。。
泣きましたとも。
犬恐い(え)私でもうるうると。
マルちゃん。。。(号泣)
いい話だねえ!
泣けるねえ!・・・・・・ぐ・・ぐ・・・・ウ・・・じゅるじゅるじゅる・・・・鼻水でたやん。
マルちゃん、ごめんよ。お水キライだったのか。ごめんよ。どこ行ったんだろう。
ごめんよ。ずっと謝ってたいキモチだよ。
そう言えば、かあちゃん、テツにいつも「ごめんよ」って謝ってるなあ・・・・・・余談
おかさん、とてもとても長い縁があって、元ちゃんとめぐり合えたんだね。
よかった。
なのに、この背中、笑
けど、元ちゃんはちゃんとココロの中で思ってるよ。おかさんが一番だって。
>ゆめのさん
子供の悪ふざけなんだから仕方ないと思いつつ、それでもいまだに、許せずにいたり。
マルはあれからどうしたんでしょうね。
驚いて走っているうちに、家へ帰る道を思い出して、飼い主さんのもとへまっしぐら・・・とかだったらいいのになぁ。
>てっくんのかあちゃん
かあちゃん、はい、ティッシュ。ぐすぐす。ひっく。
マルねぇ、ほんと、どこいったんだろう。
人間をあれほど信じてる子なのに、どうしてこんなことされちゃったんだろう。子供って本当に気軽に、ひどいことするよね。
あれからずーっとずーっと待って、やっと実現した「自分の犬」・・・の、背中(笑)
も、どういうこと!? と、問いただしたい(笑)
おとさんのどこがそんなにいいのだっ!? そしてそんなにおとさんが好きだったら、なんでおとさんとふたりで散歩に行かない!?
謎の多いお犬様です。ぶふふ
泣ける話ですねぇ。
マルちゃん、いい子だねぇ。
無事、おうちに帰れたならいいなぁ。
子供って普通に残酷だから…
今、水かけた子供に会ったら叱り飛ばしてやるんだけど。
そういえば、子供の頃って野良犬とか迷い犬とか多かったよね?
ゆかこなはでっかいコリーを拾った(?)ことがあります。
家に連れてきて、水とパンあげたら、ありがとうって言ってどっか行っちゃったけど。
礼儀正しいきれいなコリーでした。
ラッシー(仮)、たぶん、迷子だったんだと思うんだよねぇ。
うちの子になって欲しかったんだけどなぁ。
元ちはおかさんが一番に思ってくれてること知ってるから余裕なんだよね~
りんりんなんて可愛いのが当たり前だからわがまま放題だよ。
>ゆかこなりんさん
ね。マル、いい子だよね。ノーリード散歩はもちろん、何時間もの「マテ」がOKだなんて、今の「私の犬」に見せてあげたい(笑)
本当に、無事に帰ってくれてたらいいけど。
でも、首輪もしてなかったってことは、もしかしたら本当に野良犬だったのかな。たまにいるよね、ノラでも人なつこい子。
子供の頃・・・ちょっと田舎だと放し飼いも多いから、そのまま行方不明になる子とかもいたんでしょうね。
野良犬、迷い犬は確かに多かったと思う。今よりずっとね。今は、目立つもんね。公園なんかにいればすぐわかる。
私は犬好きな子供だったし、犬は怖いものってあまり思ってなかったから、こういう迷い犬とかみつけるとすぐに寄っていっちゃう方だったけど。自分が犬連れになった今では、迷い犬や放れ犬みかけると、一目散に逃げるw
ゆかこなりんさんが拾ったコリーは、「ラッシー」(笑)
コリーといえば、ラッシーだよね。ぷぷ。
礼儀正しくてきれいなコリーさん。なんか、「犬の王道」って感じ、しない? あの頃、コリーってお金持ちの必須アイテム、みたいなイメージがあったw
ごはん食べたら出ていっちゃったんだ、コリーさん。きっと、おうちの方角はわかっていて、おなかいっぱいになったところでおうちを目指したんだ。ちゃんと帰れてるといいね。
元ちはね、そう、「おかさんは離れて行かない」っていうのは、多分、わかってるんだと思う。行っちゃうフリしても、必ず戻ってくる。
おとさんはほんとに、機嫌悪くなると、消えることあるからね。心配で離れていられない(笑)
あと、おとさんはたいていなんでも言うこと聞いてくれるから。散歩コースも、ほぼ元ちの行きたい放題だし。おやつもくれ放題(笑)だし。だから好きなんだ。
おかさんは、すぐに「いけない!」って吠えるからね。ぷぷ
そういうのは確かにもろもろ、あるんだけども。
やっぱり、元ちの中での「ボス」がおとさんであることは、間違いないみたいです。
カラダの大きさとか力とか走る速度とか、いろいろあるんだろうね、判断基準が。子犬の頃、しかられて「きゃん!」って言ったのも、おとさんのときだけだったし。
りんりんは、わがまま放題なんだ。いーんだよ、かわいい女の子の特権だもん。ねー、りんりん!
犬って健気。ウルウル。。。私も子供の頃の事を思い出した。仲良しワンコが沢山いたなぁ。ウルウル・・・。
>アキママさん
ほんとほんと。健気って言葉がぴったりかも。
小学校の高学年くらいから中学卒業手前くらいまでは、ピアノの先生のお宅のシロくんと仲良しになり、しょっちゅう入り浸ってました。ヨソんちなのにね。レッスン日でもないのに勝手に庭に入り込んでは、シロくんの隣に座って、何時間も一緒に過ごしたりw あれはまさに、「デート」だったかも。うぷぷ
まさに、出会うべくして出会った「私の犬」。
それが、この子です。名前は、【元】
元、責任重大だよぉ、プレッシャー感じちゃう?
ソンナコトナイヨネ、アルワケナイ...
うーん、ねこたさんとマルの思い出、いいですね。かわいい小学生の女の子と白いマルの姿が目に浮かびます。
>お竜のBOSSさん
ソンナコトナイデスヨ、アルワケナイ・・・
坊ちゃん、そんなプレッシャーをまーーーーったく感じることなく、今日もおとさんに夢中です。
・・・・・。ふん。